薬物使用過多頭痛(MOH)とは?最新ガイドラインの要点
「頭が痛いときに薬を飲むのは当然のこと」——しかし、その薬が“頭痛の原因”になってしまう場合があります。
それが薬物使用過多頭痛(Medication Overuse Headache:MOH)です。
国際頭痛分類および欧州頭痛学会ガイドラインでは、MOHの理解と対策がさらに進化しています。
■ MOHとはどんな頭痛?
MOHは、片頭痛や緊張型頭痛などのもともとの頭痛を持つ人が、急性頭痛薬を過剰に使用することで慢性頭痛化してしまう状態を指します。
定義としては、
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頭痛が月15日以上/3か月以上続く
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急性薬(鎮痛薬・トリプタンなど)を過剰使用(月10〜15日以上)している
ことが条件です。
「鎮痛薬を飲みすぎているから悪い」という単純な話ではなく、薬に頼らざるを得ないほど頭痛が頻発している背景を見極めることが大切です。
■ 最新ガイドラインのポイント
国際・欧州ガイドラインでは、次の3つが強調されています。
① 教育と予防が最優先
患者さんに「薬の使いすぎが慢性化を招くリスク」を説明し、月の使用日数を10日(トリプタン)/15日(NSAIDs)以内に抑えることを推奨。
頭痛日記やアプリによる自己管理が効果的です。
② 急性薬の制限+予防治療の早期導入
治療の基本は「過剰使用の中止または減量」。
ただし我慢ではなく、CGRP抗体薬・バルプロ酸などの予防療法を並行して行うのが近年の標準です。
特にCGRP関連薬は、再発リスクを減らす有望な選択肢として注目されています。
③ 再発予防と長期フォロー
MOHは治っても再発しやすい疾患です。
定期的に薬使用日数を確認し、ストレス・睡眠・生活習慣など再発リスク因子を総合的に管理することが推奨されます。
■ 院長からのメッセージ
「薬をやめる」ことが目的ではなく、「薬に頼らず過ごせる日を増やす」ことがゴールです。
赤坂おかだ頭痛クリニックでは、頭痛日記の共有・薬物調整・CGRP治療などを組み合わせ、再発しない頭痛管理をサポートしています。
慢性的に薬が増えてきたと感じたら、早めに専門医へご相談ください。
