片頭痛患者のコーヒーとの付き合い方
「コーヒーは好き。でも、片頭痛が心配…。」——そんな患者さんはとても多いです。カフェインは使い方次第で“味方”にも“敵”にもなる、ちょっと気難しい相棒。今日は、赤坂おかだ頭痛クリニックとしての実践的な“距離感”をまとめます。
まず押さえたい事!!
片頭痛のある方は、1日の総カフェインをおおよそ200mg以内、かつ毎日の量と時間をできるだけ一定にするほうがいいです。量の“乱高下”や、夜遅い時間の摂取は頭痛を悪化させやすく、逆に発作の初期に少量のカフェインを上手に使うと鎮痛薬の効きが良くなることがあります。
カフェインの“二面性”を理解しよう
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プラス面:血管収縮・鎮痛補助の作用があり、アセトアミノフェン/アスピリンなどの鎮痛薬と併用で効果向上が示されています(市販薬にもカフェイン配合のものがあります)。発作の「前兆〜痛み出し」の早い段階で使うのがコツ。
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マイナス面:毎日多めに飲んでから急に断つと、カフェイン離脱頭痛を起こします(通常、200mg/日を2週間超の常用→中断で、24時間以内に出現しやすい)。
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片頭痛がある方の基本線:200mg/日以内を目安に、量と時間を一定に。
例)レギュラーコーヒー(マグ1杯)≈ 100mg前後、エスプレッソ1ショット≈ 60–75mg、緑茶1杯≈ 30–50mg…(飲み方で幅があります)。 -
一般健常成人の“安全域”の目安は400mg/日までともされています。
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妊娠・授乳中は200mg/日以内が目安。
飲む“時間帯”と“使い分け”
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時間帯:睡眠は片頭痛の最大の守り。午後遅く(目安:14–15時以降)のカフェインは避けると、夜間の寝つき・眠りの質を守れます。
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攻めの使い方:発作の初期に鎮痛薬+少量カフェイン(例:コーヒー半杯〜1杯)で“立ち上がり”を抑える作戦。連日連用は避けること。
“やりがちNG”と薬物乱用頭痛(MOH)
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NG:週末だけドカ飲み→平日ゼロ、寝る直前、眠気覚ましにちびちび追加などの“乱高下”。
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MOHに注意:カフェイン配合の“複合鎮痛薬”を月10日以上使い続けると、薬物乱用頭痛のリスクが上がります。月の使用日数管理を。
カフェイン量の目安(ざっくり)
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コーヒー(マグ1杯=約240ml):~約100mg
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エスプレッソ(1ショット):約60–75mg
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緑茶・紅茶(1杯):約30–50mg
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コーラ(350ml缶):~40mg
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エナジードリンク:製品差が大きい(ラベルで確認)
毎日飲んでいる方の“やめ方・整え方”
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急にやめるのはNG:離脱頭痛を招きやすいので、3–4日ごとに10–20%ずつ減らす感覚で。
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置き換え:デカフェやハーブティーに一部置き換えを。
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つらいときは無理せず:離脱が強い/頭痛が悪化するなら、外来で一緒にプランを立てましょう。
まとめ
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片頭痛がある方は200mg/日以内+毎日ほぼ同じ量・時間が基本。
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発作の初期には少量カフェイン+鎮痛薬が有効なことあり。ただし月10日以上の連用は避ける。
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急な断カフェインはNG。ゆっくり調整し、困ったら専門外来へ。
